
男女間賃金差異・女性管理職比率の公表義務とは
女性活躍推進法とは、女性が職業生活において希望に応じて能力を発揮し、活躍できる社会を実現するために2016年4月に制定された法律です。
この法律に基づき、企業は自社における女性の活躍状況を把握し、その情報を公表することが求められています。
これまで、常時雇用する労働者数が301人以上の企業には「男女の賃金の差異」の公表が義務付けられていました。
2026年4月の改正では、この公表義務の対象が101人以上の企業に拡大され、新たに「女性管理職比率」も公表の必須項目に追加されます。
公表が義務付けられている主な指標は以下の2点です。
- 全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の3区分における男女間賃金差異
- 管理職に占める女性労働者の割合
公表のタイミングは、事業年度終了後のおおむね3カ月以内となっています。
【事業終了と公表時期(一例)】
| 事業終了 | おおむねの公表時期 |
|---|---|
| 2026年4月末 | 2026年7月末 |
| 2026年12月末 | 2027年3月末 |
| 2027年3月末 | 2027年6月末 |
以後、おおむね1年に1回以上、最新の数値を公表
公表方法は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」または自社のホームページへの掲載とされています。
女性活躍推進法と制度の背景
女性活躍推進法は、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といい、2016年4月に施行されました。
当初は2026年3月31日までの時限立法でしたが、今回の改正により2036年3月31日までに有効期限が延長されました。
日本では依然として男女間の賃金格差が大きく、女性管理職の割合も低い水準にとどまっています。
また、女性が健康上の特性を含め、働き続けられる環境整備を行うことも課題となっています。
今回の改正は、企業における男女間の格差を見える化し、課題を明確にすることで、女性活躍推進の取り組みを加速させることが狙いです。
男女間賃金差異や女性管理職比率は、企業における女性の登用や継続就業の進捗を測る重要な指標です。
数値を公表することで、企業は自社の現状を客観的に把握でき、課題分析や改善策の検討につなげることができます。
女性活躍推進法では、行動計画の策定や状況把握なども義務付けられています。
2022年改正を含むより詳しい内容は以下のコラムで解説しています。
女性活躍推進法の改正内容とは?取り組み方や実例も交えて詳しく解説!
公表義務化はいつから?改正ポイントと企業が取るべき実務対応
今回の改正女性活躍推進法は、2026年4月1日より施行となります。
改正の主なポイントと実務対応について見ていきましょう。
2026年4月改正の主なポイント
今回の改正では、対象企業に加え、情報公表の必須項目が拡大されます。
【情報公開の必須項目】
| 1企業当たりの従業員数 | 男女間 賃金差異 |
女性管理職 比率 |
その他の公表事項 |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 要 (義務化済) |
要 | 「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」または「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」に関する情報項目の中から、2項目以上(義務化済み) |
| 101人以上 | 要 | 要 | 上記のうち1項目以上 |
| 100人以下 | 努力義務 |
全国で対象となる企業数は、301人以上が約18,000社※ 、101~300人では約32,000社※にのぼります。
※令和6年3月31日時点、(資料出所)厚生労働省雇用環境・均等局調べ
実務で押さえておきたい注意点
男女間賃金差異の算出では、全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の3区分ごとに、それぞれ女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で割った割合を計算します。
ここで用いる賃金には、給料、手当、賞与など労働の対価として支払われる全てのものが含まれます。
ただし、退職手当や通勤手当については、事業主の判断により除外することも可能です。
また、人員数の数え方は、男女で異なる方法を用いないこと、将来に向かって一貫性のある方法を採用することが求められます。
さらに公表時には、対象期間や賃金から除外した手当がある場合にはその具体的な名称、自社の実情を正しく理解してもらうための説明などを記載することが推奨されています。
なお、女性管理職比率の算出では、「管理職」を「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」と定義し、その中で女性が占める割合を計算します。
なお、「課長級」には、組織が二係以上、または構成員が10名以上の部署の長などが該当し、一般的に「課長代理」や「課長補佐」は含まれません。
今から準備しておくべき企業対応
必要な時期に正確な情報を公表するためには、早期から計画的に準備を進めることが重要です。
まずは、自社の男女間賃金差異および女性管理職比率を正確に算出できる体制を整備しましょう。
賃金台帳や源泉徴収簿などの既存データを活用し、必要な情報を集計できる仕組みを構築することがポイントです。
また、厚生労働省が提供する「男女間賃金差異分析ツール」を活用すれば、複雑な要因分析を効率的かつ客観的に行えます。
算出された数値は、これまでの取り組みの結果であり、同時に改善の余地を示す指標でもあります。
数値の大小のみにとらわれるのではなく、管理職比率や平均継続勤務年数なども含めて改めて状況把握・課題分析を行い、女性活躍推進に向けた具体的な施策を検討することが重要です。
男女間賃金差異・女性管理職比率の公表義務によるメリットとプラチナえるぼしへの影響
公表義務化は企業にとって負担となる側面もありますが、同時にさまざまなメリットをもたらします。
男女間賃金差異・管理職比率を公表する企業側のメリット
情報を公表することで企業の透明性が高まり、社会的な信頼の獲得につながります。
女性活躍に積極的に取り組む企業として評価されることで、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。
こうした公表データは、特に女性求職者にとっては、公平なキャリアアップの機会があることや、ライフイベントと仕事を両立しやすい環境が整っていることを判断する重要な指標となります。
データベースへの掲載により、女性活躍に関心の高い層へ効果的に情報を届けることができます。
また、自社の現状を客観的に把握することで、課題を明確にし、改善策を検討する機会となります。
女性従業員のキャリア形成支援や働きやすい環境の整備を進めることで、従業員満足度の向上や離職率の低下も期待できます。
プラチナえるぼし認定の要件追加とその背景
えるぼし認定とは、女性活躍推進法に基づく認定制度で、女性活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業に付与されます。
プラチナえるぼし認定は、その中でも特に高い水準の取り組みを行っている企業に与えられる最高位の認定です。
今回の改正では、プラチナえるぼし認定の要件として、事業主が講じている「求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置の内容」を公表していることが新たに追加されます。
これまでセクシュアルハラスメント対策は、主に労働者を対象としたものでしたが、今後は就職活動中の学生やインターンシップ生などの求職者等に対しても、防止措置を講じることが事業主の義務となります。
プラチナえるぼし認定を維持するためには、こうした措置の内容を公表する必要がありますが、省令等の整備にあたっては、一定の猶予期間が設けられる予定です。
認定を取得・維持することで、企業イメージの向上や公共調達における加点評価などの具体的なメリットが得られるため、今後も積極的な対応が求められます。
【まとめ】
2026年4月から男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が拡大
2026年4月から、女性活躍推進法の改正により、従業員101人以上の企業に男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務化されます。
従来は301人以上の企業のみに男女間賃金差異の公表が求められていましたが、対象企業が大幅に拡大され、約33,000社が新たに対象となります。
企業は事業年度終了後のおおむね3カ月以内に、「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分の男女間賃金差異と女性管理職比率を「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページで公表する必要があります。
公表義務化は企業の負担となる面もありますが、自社の現状を客観的に把握し、課題を明確にする機会でもあります。
透明性の向上により、優秀な人材の確保や企業イメージの向上など、さまざまなメリットも期待できます。
改正内容を踏まえた対応を計画的に進め、女性が活躍できる環境づくりに取り組むことが重要です。
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