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  • 2020.10.16
  • 経営お役立ち

パートタイム・有期雇用労働法とは?改正点や対応をわかりやすく解説

2020年4月1日に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」。

パートタイムや有期雇用労働など非正規社員が増加している昨今、どのような雇用形態でも正社員との不合理な待遇差を禁止することを目的に作られた法律です。

パートタイムや契約・派遣社員を雇用する企業において、この法律を踏まえた雇用管理や対応が必要となってきます。

今回はパートタイム・有期雇用労働法について、わかりやすくお話していきます。

法律の内容や改正のポイント、企業側でできる対応などについてもご紹介します。

パートタイム・有期雇用労働法とは?

近年、パートタイムや契約社員、派遣社員といった非正規社員の雇用が増加しています。

現在、非正規社員は雇用者全体の3割以上を占めているといわれています。

そこで、2020年4月1日に働き方改革関連法のひとつとして施行されたのが「パートタイム・有期雇用労働法」です。

この法律は非正規社員と正社員の間にあるさまざまな不合理な待遇差を禁止し、労働者がどの雇用形態であっても待遇に納得したうえで働き続けられるよう整備されました。

なお、中小企業ではこのパートタイム・有期雇用労働法に1年間の猶予期間があり、2021年4月1日より法が適用されます。

パートタイム・有期雇用労働法で具体的に何が変わる?改正のポイント

パートタイム・有期雇用労働法では、企業は基本給や賞与・手当をはじめ、教育訓練や福利厚生などにおいても、正社員と非正規社員との間に不合理な待遇差を設けることはできないなど、さまざまな禁止事項や規定があります。

改正のポイントについて、詳しく見ていきましょう。

不合理な待遇差の禁止

同じ労働であれば、同じ賃金を払う必要があるという同一労働同一賃金ガイドラインに基づき、不合理な待遇差を禁止しています。

不合理な待遇差とは、例えばクレーム対応まで行い、かつ転勤がないという同じ職務内容の正社員とパート社員がいた場合、給与を差別化しないといったものです。

そこで、同一企業内で正社員と非正規社員との間で、下記のようにさまざまな不合理な待遇差が禁止されています。

待遇差を禁止している項目

  • 基本給
  • 賞与
  • 手当
  • 福利厚生
  • 教育訓練

基本給や賞与だけではなく役職手当や業務手当、通勤手当、家族手当といった手当や、福利厚生施設や慶弔休暇、病気休職といった福利厚生・教育訓練など、あらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止しています。

今回の改正で新たに有期雇用労働者も均等待遇規定の対象となったことで、その待遇の性質や目的と照らし合わせ、待遇差が不合理に当たるかどうかという判断基準の明確性を高めました。

労働者の待遇差に関する説明義務の強化

非正規社員は正社員との待遇差がある場合に、その内容や理由について事業主に説明を求めることができるようになりました。

そして、労働者から説明を求められた事業主には待遇差について説明する義務が生じます。

例えば、労働者から待遇差について

  • どのような賃金制度なのか
  • 教育訓練はどうなっているか
  • どの福利厚生施設を利用できるのか
  • 正社員転換推進措置はどうなっているか

というような内容の説明を求められた際には、事業主はきちんと説明しなくてはいけません。

なお、説明を求めた労働者に対して、減給や解雇といった不利益な取り扱いは禁止しています。

行政による紛争解決援助制度の利用が可能

非正規社員についても、都道府県労働局で無料・非公開の紛争解決手続きを行うことが可能です。

雇用主と労働者の間で争いごとが起きた際に、裁判を行うことなく非公開かつ無料で紛争を解決する手続きのことを行政ADR(裁判外紛争解決手続き)といいます。

今回施行されたパートタイム・有期雇用労働法では、均衡待遇と待遇差の内容・理由に関する説明についても、行政ADR対象となります。

パートタイム・有期雇用労働法について企業側がとるべき対応とは?

今回改正されたパートタイム・有期雇用労働法において、企業側がどのような取り組みをすればよいのかも知っておきましょう。

以下の確認事項を順番にチェックし、進めていきましょう。

<パートタイム・有期雇用労働法の取り組み手順>

①短時間労働者・有期雇用労働者はいますか?

いない場合は対応の必要はありません。
いる場合は次の手順に進みます。

 ↓

②正社員と非正規社員(短時間労働者・有期雇用労働者)の待遇の違いはありますか?

ない場合は特に対応することはありません。
ある場合は次の手順に進みます。

 ↓

③待遇に違いがある場合は、その待遇の違いが働き方や役割の違いに応じたものであると、労働者へ説明できますか?

説明できる場合は、労働者から説明を求められた際に不合理な待遇差ではないことを伝えられるよう整理しておきます。

説明できない場合は、不合理な待遇差であると判断される可能性があります。

「パートであるため」「将来への期待度に違いがあるため」といった抽象的な理由では足りず、具体的で客観的に納得できる説明が必要です。

労働者の意見を聴取して規定を見直すなど、改善に向けて取り組みましょう。

パートタイム・有期雇用労働法とは、不合理な待遇差を禁止する法律

2020年4月1日に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」。

非正規社員と正社員の間にある不合理な待遇差を禁止し、労働者がどの雇用形態であっても待遇に納得した上で働き続けられるよう整備された法律です。

改正のポイントとしては「不合理な待遇差の禁止」「労働者の待遇差に関する説明義務の強化」「行政による紛争解決援助制度の利用が可能」の3点があり、これらは雇用主にも対応が求められています。

万が一、企業で非正規社員と正社員の間に待遇差があり、それを労働者に説明できない場合は規定を見直すなど対応が必要となります。

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