何かとストレスを感じやすい現代社会。
日々の仕事がストレスになっている社員も多いのではないでしょうか?
ストレスを感じると心身に不調が現れ、仕事に対する意欲の低下、出勤が難しくなるなど生産性にも影響が出てきます。
今回は社員のストレスについてのお話です。
ストレスの原因は何か、どのようなケアが必要かなどについて考えていきましょう。
社員のストレスになっている4つの原因
人材採用会社大手のエン・ジャパン株式会社が正規雇用・非正規雇用の社員2,667名を対象に仕事のストレスに関するアンケートを行ったところ、正規雇用81%、非正規雇用61%と共に半数以上が仕事によってストレスを感じているとの結果になりました。
そこで気になってくるのが、ストレスの原因について。
様々な調査結果などを参考に、ストレスの原因として上位にランクインしていることが多い4つの原因についてご紹介します。
1・人間関係
男女共に仕事のストレスの原因として多くあげられているのが「職場での人間関係」です。
中でも、圧倒的に多いのが「上司との人間関係が上手くいかない」というもの。
- 上司の言うことは絶対という風潮が出来ているため、思っていることを言えない
- 上司の態度がころころ変わるので、機嫌を取りながら接するのが疲れる
- 仕事のミスに対してフォローどころか個人的な嫌味や文句を言われる
などなど、上司に対する不満の声が爆発しています。
人間関係に関するストレスには他にも、次のような声があげられています
- 派遣社員だからというだけで正社員から馬鹿にされる
- セクハラ、モラハラが多い
- 後輩が仕事を覚えない、覚えようとしない
「仕事なんだから割り切って我慢しなくては!」と思っても、これからもずっとこの職場で働くことを考えると気持ちが沈んだり、我慢しなくてはいけないという気持ちがかえってストレスになったりというケースも多いようです。
2・仕事の内容
大変な就職活動を経て、やっとの事で入社が決まり「あの仕事がしてみたい」「こんな企画をしてみたい」など、夢と希望に満ち溢れて入社する人がほとんどですよね。
しかし、いざ入社してみると入社前と現実のギャップに悩まされる人も多いようです。
- 自分の希望の部署や勤務地に配属されなかった
- ずっと部署移動を希望しながら頑張っていたが、何年も過ぎてしまった
- 自分の力を発揮できる仕事を任せてもらえない
このような経験を繰り返すと「こんなはずじゃなかったのに」という思いがどんどん強くなり、結果的にストレスとして抱え込むことになってしまうわけです。
会社側としてはその人に期待していても「なぜその仕事に就いてもらったのか」「どのようなことを社員に期待しているか」という点をしっかりと本人に伝え、納得してもらわなければ社員の不満は募る一方ですよね。
中には、転職や退職などの選択に踏み切る社員もいるため、良い人材であったにもかかわらず手放さざるを得ない状況になってしまうこともあります。
3・勤務時間が長い
勤務内容によっては、長時間の仕事にさらに残業などがプラスされ「朝起きて仕事に行って帰ると寝てまたすぐに仕事へ・・・」という状態も珍しくありません。
こうなってくると仕事に追われている感覚が強くなり、強いストレスを感じることから心身ともに追い詰められてしまうケースもあります。
- 残業は少ない仕事と言っていたのに残業ばかり
- 勤務時間が長すぎて自分の趣味などの時間が全然取れない
- こんなに働いているのに給与が低すぎて働いている意味を見出せない
このように、勤務時間に関連しては給与やプライベートに絡んだ不満も多くあがっています。
仕事においては体調管理が基本!と言われても、こんな勤務時間で体調をどう管理して良いものか、と感じる人も多くいるようです。
仕事に対するやりがいや、給与面のアップ、自分自身のスキルアップなどに繋がる仕事であれば仕事に対するモチベーションも保てます。
しかし、長時間働いても何も収穫がないとなると仕事への意欲も低下し、会社の生産性にも影響を及ぼすようになってしまいかねません。
4・家庭と仕事との両立が難しい
社員の中には、家庭と仕事を両立している人も少なくありません。
特に子どもがいる家庭では、子どもに関する行事や子どもの体調不良など、どうしても仕事を休んだり早退したりする必要が出てくる場面も多くなります。
しかし、このような社員に対して職場の理解がないことで次ような不満の声があがっています。
- 子どもが熱を出したので遅刻すると伝えたところあからさまなため息をつかれた
- 家庭との両立のため短時間勤務を希望してOKが出たのに、長時間勤務に変えられた
- 子どもができたが産休や育休がないため仕事を辞めなければいけなくなった
最近では、産休や育休などの待遇もしっかりと受けられる環境も増えてきてきます。
しかし、大手企業以外の中小企業などはまだまだ環境が整えられていないことも多く、大手企業よりも家庭と仕事の両立にストレスを感じることが多い現状がうかがえます。
社員のストレスを減らす効果的な方法は?
社員によってストレスを感じる原因はそれぞれですので、全ての社員のストレスを解消することは現実的ではありません。
では、現実的に社員のストレスを軽減させるにはどのようなケアが効果的なのでしょうか?
■社員との考え方のズレを無くす
上司との人間関係がこじれてしまうのは、上司と社員の考え方のズレが原因としてあげられます。
まずは、会社全体や社員の目標を明確にし、「自分のやっている仕事がどのような成果に繋がるのか」「なぜこのようなことをさせたり言ったりするのか」という点をしっかりと伝えるようにしましょう。
そうすることで、社員との考え方のズレを軽減することができます。
また、仕事面でのフォローはもちろん、社員が成果を出した時にはしっかりと評価につなげることができるような社内体制を作ることも重要です。
■仕事とプライベートが両立しやすい制度を作る
ストレスの原因でも多く上がった長時間勤務などは、職場の環境整備や待遇を改善することで不満を軽減することが可能です。
残業が続くと疲れが溜まり仕事の効率も下がりやすくなりますし、自由な時間が持てないとささいなことでもイライラしたりミスが増えたりして、社内の雰囲気もギスギスしたものなってしまいます。
まずは、仕事とプライベートが両立できる制度を作りましょう。
有給をしっかりと消化できる、長期の休みを取りやすくする、産休・育休がしっかり取れるなど基本的なことでも構いませんが、社員全員がしっかりと制度を利用できる環境を作ることが大切です。
また、趣味休暇やスキルアップ支援など、社員のモチベーションアップに繋がる福利厚生制度の導入も効果的ですよ。
■メンタル面のケア
ストレスからくる体調不良や仕事へのモチベーションの低下は、身体的な問題だけではなく、心の問題が原因となっていることも少なくありません。
ストレスを抱える社員自身が早めに気付いて対処できれば良いのですが、自分だけではどうにもならない問題もたくさんあります。
中にはストレスを抱えていても、周囲に相談できない、表には出そうとしない社員もいます。
メンタル面のケアは、社内カウンセリングを実施する、日頃からのこまめな面談などが効果的です。
また、社員が体調を崩して長期休職などを余儀なくされる場合もあると思います。
社員が休職・職場復帰しやすい環境を整え、精神的な負担を少なくすることも、メンタル面のケアには欠かせないものとなりますので、職場の環境整備と併せて、しっかりとしたサポート体制を作っていきましょう。
まとめ
社員のストレスを軽減するためには、ストレスの原因をしっかりと把握し、それに合った対処方法を探すのがベストですが、全ての社員のストレスを無くすことは不可能です。
今回は「考え方のズレを少なくする」「職場環境や待遇の改善」「メンタル面のケア」について紹介しましたが、場合によっては他のアプローチが効果的というケースもあります。
社員のストレスは会社の生産性にも影響を及ぼすとても大きな問題です。
社員自身の問題だからと放置するのではなく、会社の問題としてもしっかりと受け止めて、放って置くということだけは無いように気をつけましょう。
まずは、日頃からしっかりと社員とコミュニケーションをとったり、社員の様子に目を配らせたりするなど、社員からのSOSを見逃さないような社内体制を整えることが大切ですね。